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Karl Wieninger 著 植木絢子 訳
発行:風人社
仕様:四六判 上製本 316頁
定価:本体2,800円+税
2007年2月14日発行
ISBN978-4-938643-27-0 C0023 P2800E
装幀:高麗隆彦
★日本図書館協会選定図書
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「10億個のコレラ菌を自ら飲んだ男」 という逸話だけが、嘲笑的な意味で知られているが、その行為に至らしめた深い意味を知る人は少ない。本書は、「近代衛生学・環境医学の創始者」の、日本で初めての翻訳伝記本である。ペッテンコーフェルの知られざる偉大な功績の数々を伝えると同時に、学問の力が「公」に貢献する、その感動も、読者は得ることだろう。
実験はミュンヘン大学の衛生学教室で行われた。師を心から尊敬していた弟子たちは、そのような危険な実験は絶対に止めて欲しいと強く懇願したが、自分は心から、自身で実験することを望んでいるのだと、次のように話した。
「……略……健康であること、命あることは、私がたびたび言ってきたように大変に大きな財産である。しかし人間にとって最高の富というわけではない。人が動物よりもなお高い存在であろうとするならば、自分の生命や健康を、より高い理想のために捧げる用意を常に持つべきなのであります」(本文より)
目次
第1章 ドナウ湿原の故郷
第2章 御典薬師の伯父
第3章 マックス少年 街へ行く
第4章 大学生活、にわか俳優、そして恋
第5章 金属学への寄り道
第6章 大学教師としての出発
第7章 リービッヒをミュンヘンへ
第8章 ペッテンコーフェルの多彩な才能
第9章 科学としての衛生学
第10章 コレラとの闘い
第11章 全世界からの称賛
第12章 ぺッテンコーフェル、その人間像
第13章 追悼の辞
訳者紹介
植木絢子(うえき・あやこ)
1939年、埼玉県志木市に生まれる。 埼玉県立浦和第一女子高校を経て、1969年、岡山大学医学部大学院(医学研究科)卒業。1971~73年、アレキサンダー・フォン・フンボルト奨学生として、ミュンヘン大学医学部病理学教室に留学。1990~2002年、川崎医科大学衛生学教授。2003年より、川崎医療福祉大学教授。現在にいたる。(リハビリテーション学科所属) 研究テーマは、作業関連物質(とくにアスベストおよび珪酸)の曝露による自己免疫発症機序の解析。
著者略歴
Karl Wieninger(カール・ヴィーニンゲル)
1905 年生まれ、1999年死去。 ミュンヘンで育ち、ナチ時代には反ナチグループに属した。1942年、両親の陶磁器工場をついでから、経営者としての業務の傍ら、執筆活動を行う。1945年のキリスト教社会同盟結成に参加。ミュンヘン市議会議員、ドイツ連邦議会議員。本書は1987年に出版した。